模様(薄紫)

入院日誌(術後1週目)

日付

主な出来事

11月1日
(水)

術後1日
多少うとうとしたようだが、結局ほとんど眠らずに朝食となった。仰向けに寝たまま鏡で見ながら食べる予定だったが、痛みのため食欲なし。牛乳だけ飲んだ。
その後看護婦さんが2人がかりで体を拭いてくれたが、まるで解剖されるカエルのような状態で上から下まで拭いてもらった。本来ならば非常に恥ずかしい姿なのだが、痛みのため羞恥心も起きなかった。
昼食時には少し元気を取り戻し、鏡を見ながらの食事に挑戦、3分の1程度食べることができた。
夕方、ドレーンパイプを抜いてもらいコルセットを付けてもらった。これで自分で左右どちらにも横向きが可能となった。相変わらず痛みが続くため、内服薬、座薬に加えて痛み止めの注射も打ってもらうが、なかなか痛みが治まらない。しかし、コルセットをしたおかげで精神的には楽になり、眠ることが出来た。
11月2日
(木)
術後2日
痛みは徐々に引いているようだが、まだ痛い。今日は排尿用の管を抜いてもらい、主治医の介助により立たせてもらった。歩行器を使って病棟のトイレ使用の許可がでた。大便時のみ便座に座ってよいとのこと。また、食事も立って食べて良いとのこと。立てるだけでも精神的にも非常に楽である。術後10日目の抜糸が済むまではシャワー禁止ということで、引き続き看護婦さんに体を拭いてもらう。だんだんと恥ずかしくなってきた。 
11月3日
(金)
術後3日
歩行器を使ってトイレまで行ってみたが、よろよろとしか歩けなかった。また、トイレの中に高さ5mm程度の段差があるのだが、この段を越えるのが難しい。
やっとのことで乗り越えると、その衝撃が腰を襲い、非常に痛かった。ほんのわずかな段差が障害を持った人間にとって、どれほど負担になるのかを身をもって体験した。バリアフリー対策は大事です。
痛みも徐々に少なくなり(痛みに慣れたのかも)、また立つことで食事がし易いこともあり、食欲が出てきた。相変わらず痛み止めの座薬、注射を続けているが、痛み止めの効果を実感できるようになってしまい、止められなくなった。
特に注射の効果は絶大で、気分も良くなるため看護婦さんにお願いするのだが、1日2回と決まっているとのこと。しょうがなく座薬で我慢する。
11月4日
(土)
術後4日
歩行器にも慣れ、徐々に快復の兆しが見えてきた。
食欲も出てきて、昼食のチャンポンはすべて平らげた。しかし、夕方から便に鮮血が混じっているのを発見。その後腹痛も始まり、血便(ほとんど血液のみ)が出始めた。
看護婦さんに連絡し、当直の先生に連絡を取ってもらう。運良く内科医が当直とのこと。夕食は普通に済ませ、トイレも歩行器で行って済ませていたが、病室に簡易トイレを持ち込み、ここで用を足すこととなった。看護婦さんはそれを回収し、出血量を計っていたようだ。
その後も徐々に下血の間隔が狭まり(1時間に1回程度)腹痛も強くなる。夜8時頃当直の先生が現れ問診・触診を行うが、原因がはっきりしないとのこと。検査のため血液を採取されたが、昨日・今日・明日と運悪く休日のため、詳しい検査や便の培養などはできないそうだ。
正直、「なんで検査出来ないのか!!」と腹が立ったが、まだ内科の先生がいただけラッキーと思い、気を取り直す。
とりあえず絶飲食で月曜日まで点滴ということになった。なお、点滴の中に止血剤と潰瘍を治す薬剤を追加する措置がとられた。
その後も下血は続き、4日は計16回(夜12時まで)だった。もう腰が痛いなんて感じない、いわゆる絞り腹といわれる腹痛に苦しみ、うなっていた。絶飲食のため痛み止めの内服薬も飲めない、もちろん座薬も使えない、結局、痛みを我慢しつつ、しかも平均1時間ごとにベッドから降りて簡易トイレに座り込み、下血しながら、一睡もせず一夜を過ごした。
11月5日
(日)

術後5日
この日も絶飲食で点滴のみ、しかも下血は止まらない。5日午前0時から6日午前0時までの24時間に、25回の下血、まだ術後5日目で、本来1日数回の排便時のみ座ることを許されているのに、こんなに多く座ってしまい、「本当に腰は大丈夫なのか」と不安になる。せめて回数を減らそうと我慢するが、反面腹痛が強くなる。ただただうなって耐えていた。
痛みを我慢してうなっていると点滴が落ちるのがピタッと止まってしまう。相当力がはいっているようだ。
3階病棟のほとんどすべての看護婦さんに、下血の世話をいただき、大変ご迷惑をかけた。
11月6日
(月)

術後6日
止血剤の点滴が徐々に効果を発揮しているのか、下血の間隔が徐々に広がってきた。内視鏡検査を部屋でじっと待つがなかなか呼ばれない。結局午後2時前にお呼びがかかり、内視鏡検査室までストレッチャーで搬送された。腰の術後で体をねじることが出来ないため検査台に移れないので、ストレッチャーの上で内視鏡を挿入された。私も一緒にモニタを見ていたが、直腸付近からいきなり真っ赤、直腸から15cmほど行ったところは腸が塞がれるほど腫れていてカメラが進めない状態だった。カメラを操作する医者ともう一人の医者、計2人がモニタを見ながら「こりゃすごい」とか「ひどいなあ」とか話しており、一緒に見ている私は「もし腸壁が破れたらどうなるんだろう」などと不安がっていた。結果、小腸までのほとんどの大腸内部が出血しており、ただれていた。5カ所ほどから細胞を採取し、カメラを徐々に抜きながら撮影を行って、終了。約30〜40分間かかった。その後、病室に戻り、2度ほど排便があったが、内視鏡観察時に腸壁に噴射していた青い染色液が排泄された。その後は下血、排便ともに止まったが、腹痛は引き続き続いた。(結局6日は計10回の排便、この実質2日間に計51回となった)
夕方、主治医が来て内視鏡検査の結果等、内科医の診断結果を説明してくれた。それによると、「今後1週間絶食することで大腸の潰瘍や出血は直る」とのこと。「水分は固形物を含まないものなら摂取してよい」と許可がでた。
「今回の原因としては、
@術後の痛みによるストレス性潰瘍
A抗生物質自体を原因とする潰瘍
B細菌性の潰瘍
以上が推定されるが、特定には多少時間を要するとのこと。(内科医が調査中)
これから一週間は、一日4パックの点滴(6時間毎)と朝・昼・夕のエンテロノン−R(耐性乳酸菌製剤)のみが投与されるとのこと。
「内科のある総合病院を選んで良かった」とつくづく思った。夜は痛み止めの注射をしてもらい、久しぶりにぐっすり眠ることが出来た。


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