模様(薄紫)

入院日誌(術後2週目)

日付

主な出来事

11月7日
(火)

術後7日
今日で術後1週間が経過した。本来ならば、歩行器を使って積極的にリハビリを開始する時期と思われるが、突然のトラブルにより24時間点滴を付けたままの状態で、部屋からは一歩も出られない。術後1週間のレントゲンをベッドに寝たままで撮影。その後主治医が来室し、大腸潰瘍の原因が判明したとのこと。術後に行ったセフェム系抗生物質(スルベラゾン)の点滴により、大腸の腸内細菌が全滅、ただ一種残った耐性菌(Klebsiella oxytoca:陰性桿菌(腸内細菌科))が悪玉菌で、これにより潰瘍が生じたそうだ。一週間の絶食で直るとのこと。
この整形外科病棟では、これまで術後の点滴にこの抗生剤を使用しているが、初めての事例とのこと。なお腰の方は、先ほどのレントゲンの結果、大丈夫とのこと。
原因も分かり、快復の目処もついて、とりあえず一安心。
当分はシャワーも浴びられないので、看護婦さんがベッドに寝たまま、頭を洗ってくれた。
なんと一週間ぶりの洗髪、3回目でやっと泡が立った。頭のかゆみもとれ気分が爽快になった。
11月8日
(水)

術後8日
腹痛はだんだんと収まってきたが、反面、腰の痛みが気になりだした。また、両足のしびれ、足の指の冷感等も気になる。靴下をはかせてもらいベッドでひたすらじっとしておく。テレビを見ると食べ物のコマーシャルが多く精神的に良くない。難しい本も読む気がしないため、週刊誌を眺めながら時間が経つのを待った。
11月9日
(木)

術後9日
昨日同様、ただただ時間が経つのを耐える。
看護婦さんが4時、10時、16時、22時の6時間ごとに点滴を交換し、体温、血圧、脈拍をチェックする。
この結果、3階病棟のほとんどの看護婦さんから看護していただいた。どの看護婦さんも優しく対応いただき、非常に励まされた。ただ家内が来ている時間は、せっかく看護婦さんがしてくれることを、「私がします」と取り上げてしまい、新鮮な気持ちをじゃまされた。
家内も看護婦だったので、処置はうまいが新鮮みが・・
11月10日
(金)

術後10日
今日は予定通り抜糸となった。
ベッドに横向きになり、コルセットをはずしたところで看護婦さんに傷をデジカメで撮影してもらった。
抜糸を行う整形の先生が、それを見ていて抜糸しながら、「その機種の画素数はどのくらいですか」、「私も買おうと思っているのですが今買うとしたらどこのデジカメがいいですか」とか、「有効画素数とはどういうことですか」等々、質問にあい、一つ一つ答えているうちに抜糸が終了した。一瞬チクチクとした程度で、そんなに痛くはなかった。抜糸といっても現在は、糸で縫っているわけではなく、まさに金属針を用いたホッチキス止め状態である記念に抜糸したホッチキスの針も撮影してもらった。(傷口と抜糸の画像)
11月11日
(土)
術後11日
もうお腹の痛みも消え、代わって腰の痛み、両足のしびれや痛みが気になりだす。ただ腰の痛みは術前のような鈍痛ではなく、手術による一過性のものと思われ、徐々に少なくなっていく。ただ左の腰から足にかけて痛みが生じている。ちょうど移植骨を骨盤から採取した部分当たりが痛みの起点となっており、骨採取が原因と思われる。この痛みの解消も時間が解決してくれるしかなさそうである。
「あと2日経てば、上手くすれば食事が出来る、シャワーも浴びられる」と期待しながら悶々と過ごした。
11月12日
(日)
術後12日
いよいよ後一日までたどり着いた。ふと手の甲を眺めると張りがあった肌がしわしわになっている。
どのくらい体重が減ったのか、体重計で計ってみると、なんと64.5kg。入院時に68.3kgだったので、約4kg痩せたことになる。
夕方、看護婦さんが明日の検査スケジュールを説明してくれた。朝6時から8時にかけて、ニフレックという液体の下剤を2リットル飲んでもらうとのこと。
内視鏡前に、体の中を洗い流すそうだ。
11月13日
(月)
術後13日
朝6時起床、看護婦さんが生暖かいニフレックを2リットル持ってきてくれたので、飲み始める。無色透明の液体だったが、苦くてしょっぱいため非常に飲みづらい。後で調べてみるとナトリウム・カリウム配合剤散であった。なるほどしょっぱいはずだ。7時までの1時間で1リットル、8時までの1時間で残りの1リットルを飲みあげた。その結果、6時から9時までの3時間に約10回の排便があったが、血液は無かった。
考えようによっては、21世紀を迎えるに当たって、腸内もすべて掃除した訳です。
体重を量ってみると64kgになっていた(9日間の絶食で4.3kgの削減)。
検査は結局午後からとなり、午後1時に超音波エコー機をもって検査技師の方が来室、丁寧に腹部全体をチェック、画像をプリントしていった。なんとあれだけ出っ張っていたお腹が見事にへこんでおり、家内が感激していた。(食べ始めたらすぐに戻るのに・・)
このとき手術の傷がどうなっているのか撮影、看護婦さん曰く、「きれいな傷口」とのこと。(写真)
午後2時から内視鏡検査となり、前回同様ストレッチャーで検査室へ移動。ストレッチャー上で内視鏡を挿入された。わくわくしながらモニタを見ていると、前回とは全く異なった映像が飛び込んできた。ほぼ完璧に完治していた。きれいな腸壁である。我ながらほれぼれするくらい美しかった。内視鏡を操作している先生も、「完全に直っている、人間の体はすばらしいね」と言っていた。盲腸の先、小腸付近まで挿入して確認したが、問題なし。私はついでにポリープでも見つからないかと一生懸命探してみたが、それも見つからず大満足の検査結果であった。内視鏡を引き抜きながら、前回写真撮影した部位の写真をとり、無事終了。完治しているので夕食から五分粥OKとなった。
部屋に帰って看護婦さんに「点滴もはずしていいか、先生に聞いてくれ」とお願いしていたところ、午後4時半頃、点滴終了の許可が出た。その結果、2週間ぶりにシャワーを浴びることとなった。もちろん座ることも出来ないため看護婦さんの介助付きである。浴室用のコルセットに替えて浴室に立っていると、防水対策を施した看護婦さんが長靴はいて入ってきて、シャワーを体にかけて背中側を洗ってくれた。このシャワーの気持ちがいいこと。思わず「天国だ〜!」と何回も叫んでしまった。その後看護婦さんが椅子の上に乗り、髪を洗ってくれた。最初の3回は泡が立たない。4回目にしてやっと泡だった。結局5回洗ってもらった。「かゆいところはありませんか」と何度も聞いてくれて、ほんとに丁寧に介助してくれた。
その後、理学療法士が来室し、今後のリハビリについて説明があった。フローミルという装置で水中歩行を1日15分間行うとのこと。絶食していたので、2、3日後から始めることになった。
夕食は五分粥と梅干し、みそ汁等、がつがつと食べ始めたが、3分の1程度で満腹感に襲われ食事が進まない。胃袋が小さくなったのか、残念だが残してしまった。明日に期待して痛み止めの注射をしてもらい、ぐっすりと眠った。
こうして内科医の診断通り、丸々9日間の絶食で完治できた。整形外科から内科へバトンタッチして内科的処置で完治させ、再び整形外科に戻すといった見事な連携医療を施してくれたおかげと感謝している。総合病院で良かった。 


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